PRACTICAL VOCAL ACOUSTICS ・ ピヨ版
Practical Vocal Acoustics(実践的声楽音響学)/ Kenneth Bozeman 著
ピヨ鳥せんせい、第2章「予備知識」って、要するに何を覚えればいいニャ?
この章は音響の「共通言語」をそろえる章ピヨ。要点はこの5つピヨ:
いちばん最初、「音とは何か」から行こうニャ。音って“空気の振動”くらいしか知らないニャ。
その理解でほぼ正解ピヨ!もう少し正確に言うと、音とは「空気のような弾力のある媒質の、圧力の変動」ピヨ。しかも、人間の耳が処理できる速さと強さの範囲に入っているものピヨ。
“Sound to human perception is comprised of pressure variations of some sufficiently elastic medium, typically air … from approximately 20 to 20,000 oscillations per second …” → 人間が知覚する音とは、空気などの十分に弾力のある媒質の圧力変動のことで、だいたい毎秒20〜20,000回の振動の範囲にあるものピヨ。 p.5
つまり、速すぎても遅すぎても、弱すぎても「音」としては聞こえないピヨ。まずはこの土台からピヨ。
音にも種類があるって言ってたニャ。まず「単純音」って?
単純音(simple sound)は、圧力の揺れが単純で規則的(サイン波)な音=たった1つの周波数でできた音ピヨ。実は自然界ではめったに起きなくて、ふつうはコンピュータで作るピヨ。私たちが日常で聞く音のほとんどは、複数の周波数が足し合わさった「複雑な音」ピヨ。
じゃあ「ノイズ」は?テレビの砂嵐みたいなやつ?…あっ、ぜんぶの周波数が入ってるなら、砂嵐ってこの世で最高の楽器ってことニャ⁉
ピヨピヨピヨヨヨヨ、惜しいけど楽器にはならないピヨ!ノイズは非周期的(パターンがなく不規則)な圧力波で、たがいに同期していない多数の周波数の寄せ集めピヨ。規則的な繰り返しがないからはっきりした音高(ピッチ)を感じないピヨ。
ピヨ猫の言う「全部の周波数」が等しい強さで入っているノイズには、ちゃんと名前があるピヨ。白色光(すべての光の周波数の集まり)にたとえて「ホワイトノイズ(white noise)」ピヨ:
“a noise containing all audible frequencies at approximately equal intensity is termed ‘white noise.’” → 可聴域のすべての周波数を、ほぼ等しい強さで含むノイズを「ホワイトノイズ」と呼ぶピヨ。 p.6
でもノイズって、歌と関係あるニャ?
大ありピヨ!ノイズでも共鳴体(resonator)で十分に形を整えてやると、特定の周波数の山ができて、音高っぽさが生まれるピヨ。たとえば子音がそうピヨ。ノイズ由来の子音 /s ç ʃ/ は、強く出る周波数帯がちがうから、「高い→低い」ように聞き分けられて、子音の正体が決まるピヨ。あとで出てくる声道=共鳴体の話につながる伏線ピヨ!
いよいよ「楽音」ニャ。きれいなドレミの音は何がちがうの?
そこが核心ピヨ!はっきりした音高を持つ楽音は、複雑な波だけど、ある「最低の共通分母」=基本周波数(fundamental frequency, f₀)の整数倍の周波数の集まりで組み立てられているピヨ。その一つひとつの周波数成分を「倍音(harmonic)」と呼ぶピヨ。
“… a set of frequencies, all of which are multiples of a lowest common denominator, called the fundamental frequency. Each of these frequency components is called a harmonic.” → 楽音は、ある最低の共通分母(=基本周波数)の倍数である周波数の集合からできていて、その各成分を倍音と呼ぶピヨ。 p.6
じゃあ「ピッチ(音高)」と「音色」はどこから来るニャ?
とても良い問いだピヨ!2つに分けて覚えるピヨ:
個々の周波数には、それぞれ高さ・明るさ・母音っぽさといった固有の“色”があるピヨ。だから倍音の混ざり具合で、同じ音高でも「明るい/暗い」「あの母音/この母音」と聞こえ方が変わるピヨ。ちなみに強い高音域や低音域の成分は、感じるピッチをほんの少し上げ下げすることもあるピヨ。
本で「1f₀」「2f₀」って書き方を見たニャ。あれ何ニャ?
これは新しい共通記法ピヨ。昔は倍音を H1, H2, H3… と書いていたけれど、いまは基本振動の何倍かがひと目で分かるように 1f₀, 2f₀, 3f₀… と書くようになったピヨ(1f₀=基本周波数そのもの、2f₀=その2倍…)ピヨ。
“… harmonic frequencies, which were previously reported as H1, H2, H3, etc., are now designated as multiples of the fundamental oscillation; that is, as 1fo, 2fo, 3fo, etc.” → かつて H1, H2, H3… と書かれていた倍音周波数は、いまは基本振動の倍数として 1f₀, 2f₀, 3f₀… と表すピヨ。 p.6
そして音楽の音程は周波数に対して対数的だから、倍音列の音程は上にいくほどだんだん狭くなるピヨ。最初がオクターブ、次が完全5度、完全4度、長3度、短3度…と詰まっていくピヨ。図で見るのがいちばん早いピヨ!
ここから「声」の話ニャ。声をどうやって理解するの?
声の音響には少なくとも2つのモデル(見方)があるピヨ:
第1章で習った通り、どちらのモデルも便利だけど必然的に不完全=その分だけ「不正確」ピヨ。この本は両方の良いところを取り入れつつ、主に非線形・音源フィルタモデルを使うピヨ。
その「音源フィルタモデル」って、結局どういう仕組みニャ?
声を2つの相互作用する要素で説明するモデルピヨ:
“… (1) the voice source … and (2) a filter function, the immediately overlapping effect of the transfer function … of the vocal tract, which selectively strengthens or weakens acoustic energy …” → 声は、(1) 音源と、(2) 声道の伝達特性によるフィルタ機能(音響エネルギーを選択的に強めたり弱めたりする)の2つでできているピヨ。 p.7
「声帯で“素材の音”を作り、声道という“共鳴管”でそれを選り分ける」イメージピヨ。…ただし、ここからが面白いところピヨ。
「音源(声帯)」が先で「フィルタ(声道)」が後、って順番でいいニャ?…ていうか、声帯さえあれば口や喉はいらないってこと?
ピヨピヨピヨヨヨヨ、そこがこの章いちばんの落とし穴ピヨ!実は「音源が先・フィルタが後」という順番が、いちばん誤解を生むピヨ。ボーズマン先生は「source-filter という言葉自体がややこしい矛盾(semantic conundrum)だ」と言うピヨ。
順を追うとこうピヨ:声門が閉じる瞬間がいちばん急な圧力変化を生んで、声道の空気の柱を“ドン”と励起するピヨ。でもその1発の声門パルスが作るのは、まだドレミの倍音じゃなくて、いまの声道の形の“共鳴のかたち”をなぞったノイズなんだピヨ。つまりフィルタ(声道)が、最初の音源の音づくりに参加しているピヨ。
えっ、じゃあ倍音(ドレミ)はいつ生まれるニャ?
その“共鳴のかたちのノイズ”が、声門の閉鎖が周期的に繰り返されることで、はじめて倍音に絞り込まれるピヨ。繰り返しの周期にぴったり合う周波数=基本周波数の整数倍だけが強められるピヨ。1f₀は毎回そろうから強く、2f₀は2回に1回…と、高い倍音ほど弱まっていくピヨ(これをスペクトル傾斜(spectral slope / roll-off)と呼ぶピヨ)。
だから最終的に外に出てくるのは、「声道の共鳴の山の近く」かつ「基本周波数の倍音」という、両方の条件を満たした周波数だけピヨ。つまり声帯の振動は、音源とフィルタの両方の役を兼ねているピヨ。
うーん、結局「音源が先」なの「フィルタが先」なの?どっちが卵でどっちが鶏ニャ?
まさにそのたとえを、ボーズマン先生自身が使っているピヨ!
“The difficulty in modeling this process in linear time is akin to the age-old question of which comes first, the ‘chicken or the egg.’ The accurate answer is: both.” → これを時間の順番でモデル化する難しさは「鶏が先か卵が先か」と同じピヨ。正確な答えは「両方」ピヨ。 p.8
“… the source is also a filter and the filter is also a source — a rather completely non-linear, looping interactivity.” → 音源はフィルタでもあり、フィルタは音源でもある ― まったく非線形でループした相互作用ピヨ。 p.8–9
この2つの要素が音域を通じてどう絡み合うか、それを追うのが声楽音響の教育のいちばんの関心事ピヨ。
奥が深いニャ…。じゃあ次の章からはどうなるニャ?
本当は同時に絡み合っているけれど、分かりやすくするためにあえて分けて進むピヨ:
第2章で言葉の土台はそろったピヨ。よくここまで来たピヨ、この調子でいこうピヨ!