PRACTICAL VOCAL ACOUSTICS ・ ピヨ版
Practical Vocal Acoustics(実践的声楽音響学)/ Kenneth Bozeman 著
ピヨ鳥せんせい、第10章は図がないニャ!どういう章ニャ?
そう、ここはこれまでの総まとめ=チートシートピヨ。第4〜9章のエッセンスを、現場で使える原則リストに凝縮した章ピヨ。図なしでサクッといくピヨ。要点はこの5つピヨ:
第6〜9章を読んでいれば、ぜんぶ「あ、知ってる!」となるはずピヨ。総復習として味わうピヨ!
共鳴を合わせたいなら、倍音にお願いすればいいニャ!「ねえ倍音くん、もうちょっと上がって!」
ピヨピヨピヨヨヨ、倍音くんは交渉に応じないピヨ!倍音は歌う音程の数学的な整数倍で自動的に決まるから、我々には動かせないピヨ。動かせるのは声道=共鳴(特にfR1・fR2)だけピヨ:
“singers are not really free to tune their harmonics. … Singers do have the ability to shape the vocal tract to retune the resonances, especially fR1 and fR2, that determine which harmonics are activated and selectively featured.” → 歌い手は倍音を自由に調律できないピヨ。でも声道を形づくって共鳴(特にfR1・fR2)を調律し、どの倍音が活性化・強調されるかを決めることはできるピヨ。 p.93
そして、これまでの章の核心がこの一文ピヨ:
“All acoustic registration events occur relative to the first resonance/first formant location of each vowel.” → すべての音響レジストレーション事象は、各母音の第1共鳴/第1フォルマントの位置を基準に起きるピヨ(第2フォルマントも二次的に関わる)。 p.94
第6章でやった4つの相互作用も、ここで原則として再掲されているピヨ:
「閉じる・開く」のルール、もう一回おさらいしたいニャ。
原則はこうピヨ:
“There is an audible event whenever any harmonic crosses the first resonance: a timbral closing when a harmonic rises through fR1, and a timbral opening when a harmonic drops below fR1.” → どの倍音でもfR1を横切ると音が変わるピヨ。倍音がfR1を上抜け=閉じ、fR1の下に落ちる=開くピヨ。 p.94
だから管の長さと形を保てば、上行で母音と音色は閉じていき(ウープまで)、下行で開いていくピヨ。そして第6章の決定的原則も再掲ピヨ:
“A voice does not turn over at the same pitch for all vowels. Each vowel will turn over just above an octave below its first formant …” → 声は全母音で同じ音程ではターンしない。各母音は、そのF1の1オクターブ強だけ下でターンするピヨ。 p.94
F1を上げたり下げたりする方法って、いっぱいあって覚えきれないニャ…きっと5つも6つも…
朗報ピヨ、たった2つずつだけピヨ!ここが第10章の一番おいしいまとめピヨ:
“There are only two ways to raise the first formant: tube shortening / vowel opening … There are only two ways to lower the first formant: tube lengthening / vowel closing …” → F1を上げる方法は2つだけ:①管短縮 ②母音を開く(口・アゴを開け、舌の背を下げる)。F1を下げる方法も2つだけ:①管伸ばし ②母音を閉じる(口・アゴを閉じ、舌の背を上げる)ピヨ。 p.94
しかも管長の変更は、クラシックでは(最高音域の例外を除き)基本ナシピヨ。だから実質、クラシックでは「母音の開き/閉じ」だけでF1を動かすと覚えればOKピヨ。スッキリしたピヨ!
じゃあ実際に低い音から高い音へ上がるとき、何をすればいいニャ?
順番に整理するピヨ。まず低い音域(母音のF1より1オクターブ以上下)では、倍音が十分あるから特別な調律は不要ピヨ。良い共鳴姿勢(締めない喉・持ち上げた口蓋・前寄りの舌=収束型)を取るだけでいいピヨ。
次に、上行してターンの手前では、クラシックでは大事な原則があるピヨ:
“For Western classical timbre, all harmonics other than 1fo should be allowed to pass through fR1, that is, without formant tracking.” → 西洋クラシックの音色では、第1倍音(1fo)以外のすべての倍音は、フォルマント追従せずにfR1を通り抜けさせるべきピヨ。 p.95
これは訓練が要るピヨ。なぜなら本能は、上がる倍音(特に2fo=ヤール、1fo=ウープ)を追いかけたがるからピヨ。クラシックではターンの手前は母音を閉じめに保ち、2foがF1の通常位置を越えるのを“許して”ターンオーバーさせるピヨ。(※ミュージカルのベルトや民族音楽では逆に、健康的な圧・流量の範囲で fR1 が 2fo を B♭4 あたりまで追従するのが定石ピヨ。)
ターンオーバーした後(クローズ音色)は、どう進むニャ?
第6・8章でやった3つの戦略が、ここでも整理されているピヨ。fR1:2fo(ターン)からfR1:1fo(ウープ)の間でどうするか、ピヨ:
そしてfR1:1fo(ウープ)に到達した以降は、もう待ったなしピヨ。F1を、上がる基本周波数(1fo)と一緒に上げ続けないと痩せるピヨ。主に母音を開いて、最後(トレブルのB5以上)は管短縮で追うピヨ。さらに細かい技として:
“When in whoop (fR1:1fo dominant) timbre, if fR2 is close to a higher harmonic, the timbre will be brighter and possibly shrill … detuning fR2 … will increase the timbral warmth and roundness.” → ウープ音色のとき、fR2が高い倍音に近いと明るく・金切りになりがちピヨ。そこでfR2を倍音から離す(デチューン)と、音色が温かく丸くなるピヨ。 p.96
そしてF1がもう上げられなくなると、その先はホイッスル(口笛)レジスターピヨ(第7章)。これでウープの「その先」まで地図が完成ピヨ。
大きく歌うほど、低い「ズーン」って音が増えるニャ?迫力出そう!
逆なんだピヨ、ピヨピヨ!クレッシェンド(大きく)は、低い倍音より「高い倍音」を強めるから、むしろ明るくなるピヨ:
“Crescendos increase the intensity of higher partials more than lower partials, creating a shallower spectral slope and brighter timbre with a higher percentage of over-vowel tone color.” → クレッシェンドは高い部分音を低い部分音より強めるので、スペクトルの傾きが緩く(高域が豊かに)なり、「オーバー・ヴァウエル(上の色)」が増えて明るい音色になるピヨ。 p.97
逆にデクレッシェンド(小さく)は高い倍音をより減らすので、傾きが急=暖かい音色になり、「アンダー・ヴァウエル(下の色)」が相対的に増えるピヨ。だから音量を絞ると、内向き・丸く・中和される母音移行が起きるピヨ。第9章のヘンデルで「クレッシェンドだけで音色が開いた」のは、まさにこの原理ピヨ。
Q1. この章を一言でいうと?
「声道は管。共鳴(F1・F2)だけが動かせる操作子。音響レジストレーションは全部F1基準で予測できる」――この一点に尽きるピヨ。第4〜9章の全部が、この原則の展開だったんだピヨ。
Q2. レッスンで一番役立つ「持ち帰り」は?
「F1を動かすのは“母音の開閉”の2方向だけ」ピヨ。上げたい=開く、下げたい=閉じる。管長はクラシックでは基本いじらない。これだけで、ターン・ウープ・母音モディフィケーションの全部が1つの操作(口の開閉)に集約されるピヨ。これがこの章の最大の実用ポイントピヨ。
Q3. 「ターンの位置が予測できる」と、何が嬉しいニャ?
予測できる=練習を設計できるピヨ。各母音がどの音程でターン/ミニ・ターンするか分かれば、生徒に「ここで裏返るよ」と先回りできるし、ターンが予測位置で起きていれば管長が安定している証拠になるピヨ(第8章)。原則を知ることが、そのまま診断と練習設計の道具になるんだピヨ。