KEN BOZEMAN ONLINE SEMINAR ・ SESSION 2
声楽音響(PVA)を、ピヨ鳥とピヨ猫のおしゃべりで噛みくだくピヨ。
#b+$N#4P)ピヨ。
第2回って何の話だったの?まず全体像から知りたいニャ。
いい入り方だピヨ!第2回はQ&Aの回で、テーマは大きく分けるとこんな感じだピヨ。
通底するのは「むりに操作せず、心地よい感情でアクセスする」という考え方だピヨ。今日も最後まで一緒にいこうピヨ!
最初の質問が「クー・ド・グロット(coup de glotte)」だったよね。なんだか怖い名前……きっと、声をバチンッと叩きつける技だ!どうかな?
おっと、勢いがいいピヨ。でもイメージは真逆だピヨ。発声する直前に、声門をやさしく閉じておくだけのことだピヨ。
“The [coup de glotte] simply means starting a phonation with the gloddest [glottis] closed immediately prior to phonation.” → クー・ド・グロットは、発声のすぐ直前に声門を閉じた状態で歌い出す、というだけの意味だピヨ。 ケン 07:16
モデルになるのが声を出さないリップトリルだピヨ。圧をかける直前に唇を閉じる、あれと同じ原理ピヨ。
閉じてから始めると、何かいいことがあるの?
仕組みはこうだピヨ。閉じた声帯を発声閾値圧力(phonation threshold pressure)が押し開け、すぐパチンと閉じ直す。この気流の急な遮断が、信号でいちばん強い部分=希薄化(rarefaction)を作るピヨ。
“That shutting off of the airflow creates this strongest part of the signal. … It creates a strong rare faction [rarefaction] just above the vocal [folds].” → 気流をパッと止めると、それが信号のいちばん強い部分になるピヨ。声帯のすぐ上に強い希薄化(低圧)が生まれるピヨ。 ケン 09:50
そして大事なのは速さピヨ。閉じが速いほど発声は強くなり、信号の高周波成分も豊かになる=明るく・クリアで・集中した音になるピヨ。もう一つ、良い発声では後ろの披裂軟骨(arytenoids)は周期的に開閉せず閉じたままで、振動するのは膜様部だけ。これは覚えておくと便利ピヨ。
逆に、空気が先に出ちゃったら?支えが安定しなくて発声がフラつく、って理解で合ってる?
方向は合ってるピヨ。空気が先に出ると、高周波成分の立ち上がりが遅れる=上から下まで揃ったキレイな信号がすぐには得られないピヨ。ただし力ずくはダメ。あくまで「やさしい閉鎖」で、スクイーズ(締め付け)じゃないピヨ。
じゃあクー・ド・グロットだけが正解で、ほかのオンセットはダメな子ってこと?
そうではないピヨ。閉鎖と気流を同時にやろうとするコーディネイテッド・オンセットも、健康的で良いオンセットだピヨ。クー・ド・グロットのほうが「ほんの少し効率的」というだけピヨ。
“A coordinated onset, which attempts to do them simultaneously … is also a healthy onset, just not quite as strong as the [coup de glotte].” → 同時にやろうとするコーディネイテッド・オンセットも健康的だピヨ。ただ、クー・ド・グロットほど強くはないだけピヨ。 ケン 16:27
そしてどちらも、目指すゴールは同じ=フロー発声(flow phonation)。圧・気流・抵抗のバランスが続く状態で、両方のオンセットからそこへ行けるのが望ましいピヨ。
プレストになるかどうかって、結局のどの力み具合の話なの?
のどだけじゃないピヨ。じつは母音をどうイメージするかがすごく効くピヨ。明るい母音を過剰調音(overarticulate)すると、喉頭が上がってプレストになりやすいピヨ。解決は、各母音の温かく中立的な色=アンダーヴァウル(undervowel)を前に出すこと。[i] なら明るい EE ではなく、温かいほうの EE だピヨ。
明るさは前、暗さは後ろ……って自然にやりたくなるけど、それでいいの?
ここが面白いところで、逆に捉えるとうまくいくピヨ。明るさを前に感じると喉頭が上がって締まる、暗さを後ろに感じると喉頭が下がって飲み込んだ音になる。逆にするとちょうど良いバランスになるピヨ。これがキアロスクーロ(chiaroscuro)=明暗の両立だピヨ。
“Bright in the front raises the larynx and tightens. Dark in the back depresses the larynx and swallows it. Reversing those gets you a good balance.” → 明るさを前=喉頭が上がって締まる。暗さを後ろ=喉頭が下がって飲み込む。逆にすると良いバランスになるピヨ。 ケン 18:18
そして近道は、操作じゃなくて感情ピヨ。正直で不安のない感情が、自分をなだめるように、自然とこのバランスを作ってくれるピヨ。
M1とM2って、いわゆるチェストボイスとヘッドボイスのこと?それと、声区の切り替わりってピッチで固定されてるの?
前半は「イエス」だピヨ。ケンは即答していて、M1=胸声、M2=頭声/ファルセットに感覚的に対応するピヨ。でも、切り替わりは固定されていないピヨ。自然な移行点はだいたいト音記号の下端(Eb付近)だけど、テノールやベルターは C5 あたりまで、普通の移行点より上まで M1 を延ばせるピヨ。
じゃあ「音響声区」っていうのは、それとはまた別の話なの?
そう、別物ピヨ。音響声区(acoustic register)は、歌っているピッチの倍音と、母音の第1共鳴(=F1)の関係で決まるピヨ。だから発音が変わればF1が動き、音響声区の場所も動くピヨ。
“Acoustic registers have to do utterly with pronunciation, because pronunciation moves the [first] formant around. And so when you move the [first] formant, you will move the location of where the acoustic registers occur.” → 音響声区は発音そのもので決まるピヨ。発音がF1を動かし、F1が動けば音響声区の位置も動くピヨ。 ケン 30:41
ただし同じ母音なら、音響声区はほぼ予測どおりに固定されるピヨ。F1を動かさないまま音程だけ上げれば、関係が変わって音響声区が切り替わるピヨ。
じゃあいよいよ……「ミックスボイス」って、結局なんなの?きっとチェストとヘッドを50:50でブレンドした第3の声帯モードだ!どうだ、合ってるニャ!
ピヨピヨピヨヨヨヨ、自信満々だピヨ! でもケンの答えはそこがポイントピヨ。ミックスは新しい声帯モードじゃなくて、おもに音響声区=閉じた音色(closed timbre)のことなんだ、というのがケンの主張ピヨ。
“Mixed voice is to me primarily an acoustic register … but it's basically the same as what I call close [timbre].” → ミックスボイスはケンにとっておもに音響声区で、自分の言う閉じた音色とほぼ同じものだピヨ。 ケン 31:47
仕組みでいうと、上行で第2倍音(H2)がF1を超えると閉じた音色に切り替わるピヨ。1オクターブ以内に第1共鳴が近づくとそうなるピヨ。
“Another way to say that … closed [timbre is] whenever you're singing less than an octave below the [first] resonance … because the second harmonic is above.” → 別の言い方をすると、第1共鳴の1オクターブ以内まで上がると閉じた音色ピヨ。第2倍音がF1を超えるからだピヨ。 ケン 34:43
へぇ……「第3モード説」は外れか。で、閉じた音色になると何が嬉しいの?
ここが効くピヨ。閉じた音色にすると、M1なら負荷が減って「軽いM1」になり、M2なら少し力強いM2になるピヨ。だからM1↔M2の移行がなめらかになるピヨ。背景には非線形音源フィルタ理論(nonlinear source-filter theory)=声道の形(共鳴)が声帯の振動にもフィードバックする、という考え方があるピヨ。「説明するより、デモして訓練するほうが正直ラクなんだけどね」とケンは笑っていたピヨ。
良い声門閉鎖がほしいとき、何をすればいいの?
ケンがいちばん最初に挙げたのは感情表現だピヨ。感情は発声プログラミングのいちばん深いところにあるから、声帯を自然に寄せてくれるピヨ。
“For good closure … using expression of feeling, which is the deepest level programming for voicing, tends to put the [cords] together.” → 良い閉鎖には感情表現ピヨ。感情は発声のいちばん深い土台だから、声帯をそっと合わせてくれるピヨ。 ケン 36:49
具体例も挙げていたピヨ。美味しいご飯への本気の感謝(mmm…)とか、犬へのやさしい注意(カーペットでおしっこしないでね、と言うときの声)。どれも心地よくて、不快じゃないのがポイントピヨ。
母音をつけて閉鎖を練習するときのコツはあるの?
声門ストロークではアンダーヴァウルの色でやって、唇で隠さないのがコツピヨ。[i] なら明るい EE じゃなく、温かい EE をむき出しにするピヨ。大前提は「ひとつの母音は2色のブレンドで、1色じゃない」と気づくことピヨ。もう一つの手がファリンジャルボイス(pharyngeal voice)。魔女みたいなトゥワングの色を、前に出しすぎず咽頭の上のほうに感じるといいピヨ。それでも各母音にアンダーヴァウルがあって、それを前に出すのは同じピヨ。
3つめのエクササイズは「クリーキーボイス」だね?なんだかケン先生、ちょっと苦手そうだったけど?
そうなんだピヨ。ケンが「自分は得意じゃないから、妻のほうがとても上手」と言って、妻の Joanne を呼んできて実演してくれたピヨ。これはおもに女声(トレブル声)やソプラノに向く練習ピヨ。Joanne の説明では、クリーキーボイスは厚い声帯ではなく、薄い形のまま完全閉鎖を得る音ピヨ。後ろ(披裂)も閉じるけど、とてもソフトな音だピヨ。(以下、Joanne によるクリーキーボイスのデモンストレーション)
“Creaky voice is an odd sound. … it does get the vocal folds closed completely, but not necessarily with a thick cord position … It's a very soft sound.” → クリーキーボイスは変わった音ピヨ。声帯を完全に閉じるけど、厚い声帯じゃなくていいピヨ。とてもソフトな音ピヨ。 Joanne 43:48
どんな音をイメージすればいいの?どこから始めるの?
イメージはきしむドアの蝶番(ちょうつがい)ピヨ。安定しない、ちょっとパチパチした音で、とにかくとても、とてもソフトにやるのがコツピヨ。Joanne は [e] から、トレブル声ならF あたりのピッチで始めるのを勧めていたピヨ。もう一つの方法が、歌声を診る言語聴覚士(SLP)Laurie Sandenburg から学んだティーター・トッター(teeter-totter=シーソー)という練習ピヨ。音をシーソーのように揺らすピヨ。(以下、ティーター・トッターのデモンストレーション)
これって、どんな人にとくに効くの?
プレスしがちな生徒にとくに効くピヨ。ボリュームを思いきり下げるのが大事ピヨ。狙いは、低い圧力でM2の形のまま完全閉鎖する感覚を体に覚えさせること。普通の声に戻ったときにその閉鎖の記憶が残り、気息っぽい高声を劇的に直すこともあるピヨ。
合唱で母音をそろえるには、どうすればいいの?
ケンは「これはまだ自分でもあまり試してない、ちょっと推測まじり」と前置きしたうえで、こう言ったピヨ。どの声種でも、F2のキアロスクーロ・ウィスパーのピッチは合わせられるピヨ。
“This is gonna be a little speculative … However, every voice type can match [F2] [chiaroscuro] whisper pitches.” → ちょっと推測まじりだけど、どの声種でもF2のキアロスクーロ・ウィスパーのピッチは合わせられるピヨ。 ケン 48:44
理由は、F2は咽頭側(後方)の空間で作られて、十分な柔軟性がみんなにあるから。F1は声種でバラつくけど、F2は誰でもアクセスできるピヨ。面白い例えにオウムが出てきたピヨ。オウムが人の声を真似るときもF2を狙っているので、オウムにできるなら人間ならどの声種でもできる、というわけピヨ。
合唱だと、具体的にはどうするの?
合唱団全員に、ある母音でF2を合わせる遊びをさせれば、きれいにブレンドするはず、というのがケンの読みピヨ(試したことはない、と正直に添えていたピヨ)。大事なのは、F2のターゲットはディクション(発音)とジャンルで変わること。同じ [a] でも、南部英語・クラシック・スウェーデン語でF2は違うピヨ。だからCCM(ポップスなどの現代商業音楽)には、より明るい音色用のF2セットを勧めていたピヨ。(以下、ケンによるキアロスクーロ・ウィスパーのスケール実演)
そもそもキアロスクーロ・ウィスパーのゴールって何なの?
ゴールは2つピヨ。はっきりしたF2のピッチと、首が心地よくラクな感覚ピヨ。締め付けも押し下げもナシピヨ。
“The goals with [chiaroscuro] whisper are clearly defined second formant pitches, and really comfortable, soothing neck sensation, no effort. … neither constriction nor depression in the neck.” → ゴールははっきりしたF2のピッチと、力みのない心地よい首ピヨ。締め付けも押し下げもダメピヨ。 ケン 48:37
クリアなピッチが出る仕組みは狭帯域チューニング(narrow bandwidth tuning)ピヨ。フォルマントのピークが鋭い(帯域が狭い)ほど、ピッチがクリアで強度も増すピヨ。逆に口を開いてスプレッド(広帯域)にすると、ピッチが聞こえなくなるピヨ。(以下、狭帯域と広帯域の聴き比べデモンストレーション)
そのピッチって、どうやって見つけるの?
いちばんわかりやすい手は、[u] から上にグライドして、ターゲットのピッチに来たら止まること。母音の音がどうなろうと、それを受け入れるピヨ。もう一つのコツが内面化する感情(internalizing affects)。前に出ない、声を守るような感情で、たとえば懐疑(skepticism)の表情だピヨ。喉は使わず、暗く掘って喉頭を押し下げない。音色にアンダーヴァウルを十分入れるだけで、無理に下げなくても喉頭は自然に低く浮く、それがいちばんピヨ。
補色母音(complementary vowel)って、みんな苦戦するやつだよね?きっと補色は唇でその形をしっかり作るのがコツに違いないニャ!
おっと、そこがいちばんの落とし穴ピヨ! ケンはハッキリ言っているピヨ。補色は唇で形を作らない、想像するだけピヨ。唇はターゲット母音の形のままキープするピヨ。
“I shape, but I imagine sound. … you allow the color of the complementary vowel to come through the shape of the target vowel.” → 形はターゲットのまま、音だけを想像するピヨ。補色の色を、ターゲットの形を通して出すピヨ。 ケン 01:07:37
ありゃ、また外した……。でも「想像する」って、なんだか曖昧だよ。昔の先生もそう言ってたの?
100年前のイギリスの教育者 Herbert Cesari(イタリアで学んだ人)も、まさに同じく「形を作らず、ただ想像する」と言っていたピヨ。そして実演のオチが面白いピヨ。ターゲットを過剰調音すると音が前に落ちてくるのに、補色のほうを出すと、音が高く前に位置するピヨ。直感に反するピヨ。唇を使うのは円唇母音 [o][u] だけで、[i][e][a] は横長の楕円をキープピヨ。
プレスト発声、気息性発声、フロー発声って、耳でどう聴き分けるの?
順に整理するピヨ。プレストは、きつくて締まった、メタリックな音で、喉頭位置が高くなりやすいピヨ。
“Pressed sounds a bit tight, overly compressed, more metallic. … it tends to have a high [larynx].” → プレストは、きつく・過剰に圧縮されたメタリックな音で、喉頭位置が高くなりやすいピヨ。 ケン 01:11:33
いっぽう気息性は、暗くくすんで、息のノイズがまじる音ピヨ。
「プレスト気息性」っていう変なやつも出てきたよね?それは危ないの?
これは要注意ピヨ。前は押して、後ろは閉じきらず息が漏れる状態ピヨ。前で声帯を押しながら、後ろに隙間(chink=声門のすき間)が残るピヨ。これは良くなくて、結節(nodules)の原因になりやすいピヨ。
じゃあ理想のフロー発声は、どんな音と感触なの?
フロー発声は、心地よく・澄んで・クリーンで、振動が気持ちいいマッサージみたいな音ピヨ。キアロスクーロのバランスを作る最高のポテンシャルを持つピヨ。
“Flow [phonation] just feels really soothing, clear, clean … the vibrations are almost like a nice [massage]. … Flow [phonation] has the highest potential for a [chiaroscuro] balance.” → フロー発声は心地よく澄んでクリーンで、振動がマッサージみたいに気持ちいいピヨ。キアロスクーロに最適だピヨ。 ケン 01:13:51
アクセスのコツは温かい感情ピヨ。共感・安心・なだめる気持ち、子どもをあやすような感じが、フロー発声を見つけやすくするピヨ。
クリーキーボイスって、低い音でもM2でやるの?M1で閉鎖を練習したいときは?
クリーキーボイスは、ケンが知るかぎりM2でしか使われてこなかったピヨ。低音でもM2でやるピヨ。一方ファリンジャルボイスはM1でもM2でもできるピヨ。だからM1で閉鎖を練習したいならファリンジャルがいいピヨ。
最後にオンセットの話に戻ったよね。3種類ぜんぶ使えるべきってこと?
そのとおりピヨ。気息性(H)・コーディネイテッド・声門ストロークの3種すべてからフロー発声に行けるべきで、空気が先に出るHからでもクリーンな発声に行けるのが目標ピヨ。ただし即座にフルな音色を得やすいのは、やっぱりクー・ド・グロット(声門ストローク)ピヨ。そして締めくくりの大事な知識ピヨ。良い発声にたどり着いたとき、披裂軟骨は閉じていて、閉じたままピヨ。第1回からの一貫したメッセージだピヨ。
“Once you get to the good phonation, the [arytenoids] are closed, and they stay closed. … they stay closed in the back the whole clean [phonation].” → 良い発声に着いたら、披裂軟骨は閉じていて、閉じたままピヨ。クリーンな発声の間ずっと後ろは閉じているピヨ。 ケン 01:24:00
今回、すぐにはスッキリ解決しなかった話もあった気がするニャ。整理しておきたいな。
いい振り返りだピヨ。今回の「持ち越し・論点」はこんな感じピヨ。
最後にケンは「私たちはみんな生涯学習者だ。次回は歌って、声で遊ぼう。それが楽しいところだ」と締めたピヨ。
出典・注意